高松市 登録基幹技能者活用に対し加点評価、工事出来栄え向上に期待

高松市 登録基幹技能者活用に対し加点評価、工事出来栄え向上に期待

2016年7月27日 日刊建設工業新聞2面 高松市 松下雄介副市長 人口約42万人の中核市である高松市が公共工事の入札契約で新たな試みに取り組んでいる。
市発注工事で登録基幹技能者の活用が進むよう、6月から総合評価方式で加点評価する措置を導入した。
市内五つの小中学校の給食機能を統合した給食センター建設事業では、国土交通省の「多様な入札契約方式モデル事業」で支援事業者となったアクア(東京都中央区)のアドバイスを受け、品質確保とコスト縮減を前提に市が直面する課題を解決する入札契約方式の導入を目指す。
登録基幹技能者の活用は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針にも明記されている。 高松市は、その配置によって総合評価方式の入札で5点を付与する措置を6月から取り入れている。 この取り組みについて松下雄介副市長は「受注を目指す建設業者にインセンティブを与えながら、追加的な予算を発生させずに工事の出来栄えが良くなることが期待できる」と話す。 都道府県や政令市の一部で既に始まっているこの取り組みを中核市が実施するのは初めて。 元請となるゼネコンなどが品質確保に向けて登録基幹技能者を積極活用する動きに加え、「専門工事業者が自ら雇用する技能者の処遇改善の一助にもなるだろう」(松下副市長)と指摘する。
給食センター整備事業では、新たな入札契約方式としてCM(コンストラクション・マネジメント)方式としてECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式の導入を決定。 国交省が派遣する支援事業者のアドバイスを受けることでノウハウ不足を補う。 今年2月に開かれた入札監視委員会では、大型建築工事(病院と学校)の入札の落札率の高さが指摘された。 これに対し市は「国の指導を仰ぐ中で入札制度の改善について勉強する」と回答している。
公共工事設計労務単価の上昇や建設費の高騰などで事業費が膨らむ中、品質確保とコスト縮減が市の入札制度を考える上でも欠かせない要素となっている。 加えて、給食センターは大規模地震時の炊き出し拠点として活用することを想定。 その他にも地場食材の使用、見学への対応、食育にも役立つ機能の充実、環境負荷、アレルギー対応などさまざまな課題に応えなければならない。 市が直接雇用しこれまで各校で働いていた調理師の働きやすい環境を整備するための動線確保なども重要となる。
2階建て延べ2800平方メートルの規模で1日5500食を用意する給食センターをめぐるこれらの課題に入札制度で応えられるよう、経験豊富な支援事業者によるアドバイスを期待。 松下副市長は「得られた成果を次の事業にも生かせるだけの知見を得られるようにしたい」と話している。

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