プロジェクト[空港施設CM活用事例]関西国際空港セキュリティ強化プロジェクト

発注者が官から民への企業体質変革を達成したモデルケース

関西エアポート株式会社

発注者が官から民への企業体質変革を達成したモデルケース

東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けた国交省の航空保安検査の高度化指針に従い、第1ターミナルビルのインラインスクリーニングシステムにおける爆発物検知装置の更新工事、付随する旅客手荷物搬送設備と建築施設の改修工事を同時に行う大規模改修プロジェクトが計画されました。
また、関西国際空港において民営化後初の大規模プロジェクトであり、従来の縦割り組織体制から脱却し、民間における合理的且つ優れたプロジェクト推進手法を導入する目的でCMRが起用され、改修計画検討から施工完了まで4年間の一貫したCM業務としてアクアが受託致しました。

本プロジェクトの課題は以下の3つでした。
① 継続的な不同沈下によって建物が微細に動き続けており、図面だけでは現場がおさまらないこと
② 各特殊設備メーカー、工区毎に分かれた建築工事施工者、各航空会社、及びお客様社内の各部署等の多くの関係者がプロジェクトに関与すること
③ 空港運用を維持・継続しながら、多岐にわたる改修工事を同時並行で実施する必要があることから、縦割り組織体制のままだとプロジェクト遅延等の様々な弊害の発生が懸念されること
これらの課題を克服しながらプロジェクトを推進することが、アクアの重要な役割となりました。

空港を運用しながらのプロジェクトであるため、計画から竣工までを一貫してコントロールするスケジュール管理を求められました。お客様による従来の案件では、実施図面と現場との不一致による施工中のスケジュール遅延とコスト増加が深刻な課題であったため、本プロジェクトでは、施工期間3年にわたるスケジュールを遵守し施工中の現場変更により発生する工事費の増加を抑える方策として、従来の設計施工分離発注方式ではなく、『E(C+M)I方式』を提案し採用されました。その結果、本件固有の改修工事に由来する見えないリスク、不同沈下の影響による設計と現場不一致のリスク、分離発注方式による縦割り体制に起因する責任の所在の不明確さのリスクなど、様々なリスク要因の排除を実現することができ、スケジュールとコストをコントロールすることが出来ました。
※E(C+M)I方式 = 「 Early (Contractor + Manufacturer) Involvement 」の略:Contractor:施工者、Manufacturer:特殊設備(BHS:Baggage Handling System + EDS:Explosive Detection System)を企画・設計段階から参画させ、各社の技術力とノウハウを集結し、手戻りなく効率的に進める手法

また、建築工事と特殊設備工事を分離して発注したことにより、関係各社の利害が相反する場面も出てくる事が予想されたため、初期段階で関係各社の役割分担を明確にした上で、相互が協力し合う体制を構築しました。
関係各社がプロジェクト目標を共有し、CMRが全体の横櫛となり、司令塔であると共にお客様の代弁者であったことは、本プロジェクトを円滑に進めるうえで非常に有効でした。
そして、安全な運用と保安を最も優先する空港施設では、空港運用・保安に影響を与えない施工計画の確立が必須条件でした。そのため、常に次フェーズのリスクを先読みした目標を設定し、不測の事態に対しても迅速な意思決定ができるよう、全てのフェーズで定例を主催し、アクアで情報を一元管理しました。お客様とは、情報共有週例会議を通じてタスク管理・リスク要因の共有を行いました。

次フェーズを見据えた先読みの仕込み=リスクマネジメントが最重要であり、施工段階を見据えた設計段階での仕掛けがプロジェクトを円滑に進めるための、また、不可抗力による後発事象への対処や施工中のコストアップを抑える有効な手段でした。

プロジェクト概要

所在地
大阪府泉佐野市
延床⾯積
301,636㎡
構造・規模
S造 RC造 地上4階 地下1階
用途
空港施設
種別
既存

アクアが担当した業務段階

  • 企画設計
  • 基本計画
  • 基本設計
  • 実施設計
  • 施 工
  • 維持管理

建設コスト、プロジェクトの課題を
アクアに相談する