建設事業費に影響を与える物価高や担い手不足などの工事費変動要因を把握するには、刊行物やウェブサイトで公開されている建設コスト・工事費に関する各種指標の活用が効果的です。
建設コスト・工事費に関する各種指標を適切に活用することで、事業予算の超過リスクを低減できるほか、客観的なデータに基づいたコストの最適化につなげることができます。
この記事では、建設物価・コスト情報の概要、刊行物やウェブサイトを活用した調査方法、実勢価格の影響を織り込んだ建設コストレポートの見方・活用方法などを網羅的に紹介しています。
また、アクアでは、建設市場の動向や建設コストにまつわる情報を受け取ることができる「建設市場動向レポート(アクアングル)」を発行しています。無料でダウンロードいただけるので、ぜひご登録ください。

建設物価・コスト情報とは?
建設物価・コスト情報とは、資材価格や労務費など、建設プロジェクトに関わる費用の動向を示す重要な指標です。建設工事には、鉄骨やコンクリートといった資材費だけでなく、専門職の労務費、重機のリース費など、社会情勢によって変動する多様なコストが含まれています。
建設プロジェクトの事業性を評価し、適切な事業収支を見通すためには、コスト動向を正確に把握することが不可欠です。特に、事業の初期段階における精度の高いコストの予測は、プロジェクト全体の成否を左右する重要な判断材料となります。
建設物価・コスト情報を活用することで、より精度の高い事業計画を立て、コスト超過などのリスクを予防できるほか、事業収支の改善による利益の向上などにつなげられます。
刊行物から建設コスト・工事費変動状況について調べる方法
建設コストや工事費変動状況を調べるには、一般財団法人 建設物価調査会や一般財団法人 経済調査会が発行する専門刊行物を活用するのが一般的な方法です。代表的なものに「月刊 建設物価」や「季刊 建築コスト情報」があり、これらの雑誌には主要資材の市場価格、労務単価、各種工事費の動向が全国のエリア別に詳細に掲載されています。
これらの刊行物を活用する際は、最新号とバックナンバーを比較することがポイントです。過去のデータと見比べることで、特定の資材価格や工事費の推移を時系列で把握でき、今後の価格変動を予測するための客観的なデータとして役立ちます。
専門的な刊行物から得られる一次情報を読み解くことは、建設プロジェクトの事業費を検討する上で重要な判断材料となります。公的機関が発表する信頼性の高いデータを活用することで、より精度の高いコスト管理や事業計画の立案が可能になります。
建設物価(毎月刊行)|建設物価調査会発行
一般財団法人 建設物価調査会が発行する「月刊 建設物価」は、建設資材や労務費の最新市場価格を毎月提供しており、具体的なコスト動向を把握できる刊行物です。
全国の主要都市ごとに、鉄骨やコンクリートといった基幹資材から内装材、設備機器に至るまで、多岐にわたる品目の実勢価格が網羅されています。各種専門職の労務単価も詳細に掲載されています。
「月刊 建設物価」は、施工会社から提示された見積書に記載された単価が適正かどうかを客観的に判断する際や、将来の価格変動を予測するための基礎資料として活用できます。
建築コスト情報(季刊)|建設物価調査会発行
一般財団法人 建設物価調査会が季刊で発行する「建築コスト情報」は、個別の資材価格ではなく、建物の工事費全体の動向を指数で捉えることに特化した専門誌です。
マンションやオフィスビル、工場といった建物の用途ごとに、全体の建築費が前期や前年と比較してどの程度変動したかを示す「建築費指数」が掲載されており、市場全体の大きなトレンドを把握するのに適しています。
建築費指数を参考にした企画段階での概算工事費の算出や、事業計画の説得力を高める資料としても活用可能です。
建築施工単価|経済調査会発行
一般財団法人 経済調査会などが発行する刊行物に掲載されている「建築施工単価」は、特定の工事を完了させるために必要な材料費・労務費・経費などを一体化した、より実用的なコスト情報です。
個別のボードやビスの価格ではなく、例えば「内壁の石膏ボードを1㎡張るのにいくらかかるか」といった、実際の施工単位での複合的な単価を示しているのが特徴です。
掲載されている施工単価を参考にした、工事項目ごとの詳細な内訳見積(積算)の効率的な作成や、施工会社から提出された見積書の各項目の金額が市場の相場と乖離していないかの確認等に活用できます。
積算資料|経済調査会発行
一般財団法人 経済調査会が発行する「積算資料」は、建設工事の見積業務において、業界の標準的な参考資料として広く利用されている代表的な刊行物です。
材料費、労務費、機械経費などを一体化した「複合単価」を掲載している点が特徴で、「コンクリートを1㎥打設する費用」といった、実際の施工内容に即したコストを把握できます。
建設会社は「積算資料」に基づき精緻な見積を作成し、発注者側は提示された見積書の項目別単価が市場価格に照らして妥当であるかを検証するための、客観的な根拠として活用できます。
ウェブサイトから建設コスト・工事費変動状況について調べる方法
建設コストに対する最新の情勢を把握するには、ウェブサイトを活用することで、建設コストや工事費の動向に関する最新情報を、迅速かつ効率的に収集することが可能です。ウェブサイトで確認できるデータには、主に官公庁、調査会社、業界団体や業界新聞などが公表しているものがあります(下記表に代表的な統計データを抜粋)。
建設コスト・工事費変動状況が掲載されているウェブサイトを定期的にチェックし、公的な統計と民間の市場価格データを組み合わせて分析することで、建設コスト等の数値を多角的に検証し、その精度を高めることができます。
| 統計データ名 | 調査主体 | データ概要 | わかること |
|---|---|---|---|
| 建設労働需給調査結果 | 国土交通省 | 型わく工や鉄筋工といった主要8職種の技能労働者について、全国および地域ブロック別の労働者の需給バランス(過不足率)を示しています。 | 労務費への影響 |
| 建築着工統計調査 | 国土交通省 | 建築物の着工状況について建築主別の建築物の数、床面積の合計、工事費予定額などの結果を、全国、都道府県、市区町村の地域で提供しています。 | 全体工事費への影響 |
| 主要資材価格動向(東京) | 建設物価調査会 | H形鋼などの鋼材、コンクリート、アスファルト、アスファルト、電線やガス管まで、建設工事に必要となる主要資材の価格動向をグラフ形式で表しています。 | 材料費への影響 |
| 建設物価 建築費指数 | 建設物価調査会 | 建築物の工事価格の変動を明らかにする目的で、用途別、地域別の建築費指数(建築工事に関する物価指数)を提供しています。 | 全体工事費への影響 |
| 最新市場価格(鉄鋼・非鉄金属) | 鉄鋼新聞 | 異形棒鋼やH形鋼などの鉄鋼製品、銅やアルミニウムなどの非鉄金属について、最新の市場価格を一覧で提供しています。 | 材料費への影響 |
| 生コンクリートの出荷実績 | 全国生コンクリート工業組合連合会 | 月ごとの全国の生コンクリートの出荷数量についてまとめています。官公庁用・民需用などの需要部門別の内訳や、前年同月比の推移などを提供しています。 | 材料費への影響 |
建設市場動向レポート「アクアングル」(毎月発刊)の入手方法
これまで建設コストの様々な調査方法を解説してきましたが、より手軽に、専門的な分析に基づいたコスト情報を入手したい方向けに、アクア独自の建設コストレポート「アクアングル」を提供しています。アクアングルは、定期的な情報収集に適した【四半期版】と、より最新の動向を追うための【月次版】をご用意しています。
アクアングルは、本記事で紹介した刊行物や統計データから分かる材料費や労働費の変動状況に加え、世界経済・国内経済の状況、建設会社の決算状況、働き方改革による影響など、今後の物価変動リスク等を加味した建設費といったデータがこぼれてしまうため、建設プロジェクトの豊富な発注実績があるCM会社だからこそ把握できる実際のプロジェクトの見積データを分析基盤とした、より実態に即したレポートを算出しています。
複雑な情報収集や分析にご自身で時間を費やすことなく、事業計画の重要な判断材料となる信頼性の高いコスト情報を、「アクアングル」を通じて迅速に入手いただくことが可能です。

建設市場動向レポート「アクアングル」の内容・見方とは?
建設コストレポートは、専門的な視点で分析・集計された資材価格や労務費などの動向を読み解き、事業計画の精度を高めるために活用できます。
レポートを見る際は、個別の価格だけでなく、複数の指標を組み合わせて市場全体の大きな流れ(トレンド)を掴むことがポイントです。建築費指数の傾向を把握し、事業開始のタイミングの検討や、予算の予備費の確保などの判断材料として活用できます。
また、コスト(工事原価)とプライス(工事価格)の違いを把握しておくことも重要です。一般的な公表データは原価の積み上げで算出されますが、実際の取引価格にはその時々の需給バランスやゼネコン等の受注意思などが反映されるため、単純な原価の積み上げだけでは、実勢価格と大きな乖離が発生してしまいます。一方、アクアングルは、過去のプロジェクト等の独自データを用い、公的指標よりも実勢価格に近い指標を算出している点が特徴です。

コストとプライスの違いを把握したうえで、レポートから市況の動向を読み解き、将来のリスクや機会を予測することで、事業における適切なコストマネジメントの実現につなげられます。
建設コストレポートの活用状況

IMFなどのデータをもとに、世界経済と国内経済の最新動向を整理しています。
金利や物価の変動が大局的にどう影響するのかなど、マクロ経済の大枠を掴むことができます。

ホテル市場や働き方改革など、毎号異なるタイムリーなテーマを設定し解説しています。
データだけでは見えない業界の課題やビジネスチャンスを深く知ることで、実務に直結する具体的な知見として活用いただけます。

主要資材の価格変動や労務費の変動状況を、具体的な数値データで可視化しています。
コスト増の要因を客観的に掴むことで、見積の妥当性検証や価格交渉の根拠資料としてお使いいただけます。

自社の独自指数と公的な指標を比較・分析することで、実際の建設市場がどのように変動しているかを可視化しています。
市場の公示価格と実勢価格の乖離を防ぎ、手戻りのない適正な予算策定にお役立ていただけます。

建設コストレポートの申込みフォーム
アクアでは、建設市場の動向や建設コストにまつわる情報を受け取ることができるレポート「アクアングル」を、毎月の月次特集、および四半期ごとにはフルレポートも発行しています。
アクアングルは、日々変動する建設市況や建設コストの動向を、各種統計資料やアクア独自のデータベースで分析しお届けします。最新の建設コスト情報をタイムリーに受け取れるので、社内外への説明資料や共有資料としてお役立てください。
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まとめ:建設物価・コスト情報を活用し、事業リスクを低減しよう
本記事では、建設コストの動向を把握するための情報収集の方法や、コストレポートの見方について解説しました。重要なポイントは以下の通りです。
- 建設物価・コスト情報とは、資材価格や労務費などの動向を示す指標であり、事業費の算出やコスト管理に不可欠
- 建設コストの動向は、「建設物価」や「建築コスト情報」といった専門刊行物で調べることができる
- 国土交通省が公表する「建設工事費デフレーター」や、調査機関が提供するウェブのデータベースからも最新情報を入手できる
- 刊行物やウェブサイトの情報を複合的に分析している「アクアングル」では、建設コストの動向を多角的に見ることができる
- 専門的なコストレポートを活用する際は、個別の価格だけでなく、市場全体のトレンドを読み解くことが重要
アクアでは、建設コストに関する動向を、専門家の視点で分析・解説したレポート「アクアングル」を無料で発行しています。複雑な情報収集や分析の手間をかけずに、信頼性の高いコスト情報を手に入れたい方は、ぜひお申込みフォームからお申し込みください。
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