お役立ち情報既存建物のLED化とは?
メリット、省エネ・CO2削減効果、工事費用、導入事例紹介

LED化とは、既存照明機器からLED照明に変えることでエネルギー使用量を削減する省エネ対策の一つです。

照明は空調設備に次いで最もエネルギーを消費する設備であり、建物のエネルギー使用量のおおよそ20~40%を占めています。施設全体の照明をLED化することで、エネルギー使用量を大幅に削減することができます。

この記事では、既存建物(ビル・工場・商業施設・住宅など)のLED化改修が進む背景・理由を紹介するとともに、既存建物の照明をLED化改修するメリットや注意ポイント、LED化改修の事例などを網羅的に紹介しています。

LED化とは?

LED化とは、既存照明機器からLED照明に変えることでエネルギー使用量を削減する省エネ対策の一つですが、それだけではなく、既存建物を保有・運営している方には喫緊の対応が迫られる問題でもあります。

2020年末に水銀灯・蛍光灯の生産が終了し、また、内閣府は新成長戦略の中でLED照明などの次世代照明の100%の使用率を目指すことを発表しています。

小型の照明機器であれば、電球からLED電球に付け替えを行っても問題は発生しませんが、ビル・工場・商業施設などで使われる蛍光灯を、従来のものからLEDに交換する場合には工事が必要です。

このようにLED化とは、省エネ対策に加え、既存建物が対応していく必要がある工事といえます。工事を伴うものだからこそ、既存建物のLED化のメリットを最大化するためには、より効果的な省エネ設備更新を実現するための適切な調査、器具の提案、工事まで一貫したサポートが必要です。

既存建物(ビル・工場・商業施設・住宅など)の
LED化改修が進む背景・理由

LED化は事務所ビルや工場といった既存建物でも進んでおり、企業の所有する建物にも関連した施策です。LED化による省エネ効果は高く、光熱費などのランニングコスト削減や省メンテナンスに大きな効果があります。

LED照明は従来蛍光灯に比べて電力消費量が約50%削減でき、ビルや工場といった既存建物でのLED化改修工事は比較的負担が少なく実現できるため、企業不動産におけるLED化は進んでいくと言えます。

また近年、ESGや脱炭素などを背景にして、企業不動産のLED化の必要性が高まっています。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)について企業が取り組むべき課題を指します。LED化はそのうちの環境に関わる施策で、この評価が高いことは企業や企業不動産の環境への取り組みが進んでいることを示します。

ESGの取り組みが進んでいる企業に対する投資活動であるESG投資なども注目されており、脱炭素化を目的とした設備投資への税制優遇が行われるなど、企業不動産に高い環境性能が求められる流れは今後も大きくなると言えます。

各建物用途におけるエネルギー使途別の消費内訳とLED化改修のインパクト

LED化が光熱費などのランニングコスト削減や省メンテナンスに効果がある理由を紹介します。

建物が消費するエネルギー量は大きく、その中でも照明が占める割合は高くなっています。以下のグラフは事務所やビル、デパート、学校、ホテル、病院といった建物用途でのエネルギー消費の内訳です。照明・コンセントのエネルギー消費の割合が約20〜40%となっており、照明のエネルギー消費量が大きいことがわかります。

建物用途ごとのエネルギー消費の内訳。照明・コンセントは20~40%と高い割合を占めている

照明の照度が高く照明器具の設置台数も多い、事務所やビル、デパート、学校では特に照明のエネルギー消費が占める割合は高くなります。こういった施設でのLED化改修は、建物全体のエネルギー消費量削減効果がより高くなるため、光熱費削減などのメリットやインパクトも大きくなります。

また、LED照明器具の寿命は、従来の蛍光灯の5倍程度である40,000〜60,000時間と言われており、ランプ交換の頻度が大幅に減少するため、省メンテナンスにつながります。

既存建物の照明をLED化改修する
3つのメリット

ビルやオフィスといった既存建物で、照明のLED化改修を実施するメリットについて紹介します。

企業不動産でのLED化改修のメリットは、電気料金の削減や省メンテナンスの実現といったランニングコストに関わるものだけでなく、CO2削減などによるESGへの配慮や、水銀灯・蛍光管の製造中止に対する対策など多方面に渡るため、ポイントをおさえることでメリットの最大化につなげられます。

メリット1:電気料金・省メンテナンスによるランニングコストの削減

照明のLED化改修を実施すると、電気料金・ランニングコストの削減につながります。LEDの発光効率は、近年飛躍的に向上し、白熱電球の6倍、蛍光ランプの1.3倍にもなります。

経済産業省が2012年に作成した「LED照明産業を取り巻く現状」でも、 LED電球は、エネルギー効率の面で白熱電球や電球形蛍光ランプを上回っており、現在、最も省エネが進んでいる電球であることが紹介されています。

経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課(2012)

経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課(2012)
LED照明産業を取り巻く現状

また、LED電球の寿命は、従来の白熱電球1,000時間、電球形蛍光ランプの6,000〜10,000時間に対して、40,000時間と4〜40倍程度寿命が長くなります。既存建物の照明をLED化することで、電気料金が下がるだけでなく、これまで定期的に行っていたランプ交換が不要となり、省メンテナンスを図ることができ、ランニングコストの削減につながります。

メリット2:LED化による発熱量低減に伴う冷房負荷減=冷房に使う電力使用量の減

LED化は照明自体の省エネ効果を見込めるだけでなく、冷暖房負荷の軽減も期待できます。

LED照明は白熱電球や蛍光灯のように熱を光に変換して利用する発光原理ではなく、電気を直接光に変えるので、光源自体の発熱量は非常に少ないため、冷房負荷の低減に繋がります。反対に暖房負荷は増加しますが、寒冷地のビルや暖房需要の多い施設以外であれば夏季の空調消費電力の削減が冬季の空調消費電力の増加を上回り、それに伴い年間の電気料金の削減が期待できます。

このようにLED化によって照明の省エネだけでなく、冷房の電力使用量削減につながり、年間の電気料金の削減が期待できます。

メリット3:水銀灯・蛍光灯の製造終了にともなう、球切れや機器交換リスクに対応できる

既存建物の照明のLED化改修を計画的に実施すると、球切れや機器交換のリスクに対応できます。2020年までに大手メーカーの蛍光灯器具・蛍光灯の生産が終了し、さらに水俣条約により水銀灯の生産も終了します。

また、政府は2020年までに次世代照明(LED照明・有機EL照明)の器具出荷比率を100%とすることを目標とし、2030年には次世代照明の国内設置比率100%の目標を掲げています。2020年以降は流通在庫が無くなり次第、水銀灯・蛍光灯器具の球切れや故障が発生した場合にランプ・器具交換などの対応ができなくなります。

蛍光灯・水銀灯などの法改正や生産に関する主なできごと
時期 項目 概要
2017年 蛍光灯器具
  • 東芝ライテック生産中止
2018年 蛍光灯器具
  • 日立、岩崎電気生産中止
2019年 蛍光灯器具
蛍光灯
  • 三菱電機、パナソニック生産中止
  • 日立、岩崎電気、三菱電機生産中止
2020年 蛍光灯
  • 東芝ライテック一部製品生産中止
    ※パナソニックのみ生産終了時期未定
水銀灯
  • 水俣条約により水銀灯の生産中止
  • 流通在庫が無くなり次第購入不可
次世代照明の器具出荷比率
  • 政府は次世代照明(LED照明・有機EL照明)の器具出荷比率の目標を100%とする
2030年 次世代照明の国内設置比率
  • 政府は次世代照明(LED照明・有機EL照明)の国内設置比率の目標を100%とする

今後、既存建物に設置してある水銀灯・蛍光灯器具を次世代照明へと切り替えていくことは必須となります。そのため、既存建物の照明のLED化を計画的に進めておくことは、突然の蛍光灯の器具故障・球切れのリスクに対応できるというメリットがあります。

既存建物のLED化・建物全体改修における注意ポイント

既存建物のLED化を進める際には、照明器具の交換のために天井の張替え工事が発生したり、不要な器具の撤去工事などが必要になってきます。LED化をする際には、無駄な費用を抑えるためにも計画的な改修計画が必要となるため、LED化の工事のポイントをおさえることが重要です。

ポイント1:現況確認の元、適切に工事範囲を定める必要がある

LED化は、リニューアル専用器具を使用することで、既存照明器具の天井開口を利用して更新も可能ではありますが、器具種類が限られており、天井開口の拡張や部分的な張替などが発生します。

その際に既存器具の天井周辺部に非常照明、感知器、スピーカーなど支障となる機器が無いか、事前に確認を行い、簡単に移設できるものなのか、移設に大きな費用がかかってしまうため、既存開口を再利用した更新が必須なのか、現地の状況を踏まえて計画する必要があります。

ポイント2:安定器は撤去し、確実なランニングコスト削減につなげる

LED化として従来の蛍光灯器具にて、ランプのみをLEDタイプに交換する方法もありますが、このやり方では、十分な省エネ性能を確保できないです。蛍光灯器具には、安定した点灯を維持するために安定器という装置が取付けられておりますが、この安定器を撤去しないと無駄な電力を送り続けることになり、LEDに更新した効果が薄れてしまいます。

安定器にも約40,000時間という寿命があるため、更新したLEDランプが正常でも寿命や経年劣化で故障した場合は照明は点灯できなくなります。

さらに従来の蛍光灯の場合、安定器の調子が悪ければ光のちらつきや異音などといった症状で安定器の劣化に気付きやすいですが、LEDランプの場合は安定器の劣化を示すサインが出てこない場合があり、気付かずに使用し続け安定器の劣化が進み、最終的には発火する恐れもあります。

LED化をする際に、蛍光灯器具の安定器を撤去することが省エネにつながる

LED化をする際に、蛍光灯器具の安定器を撤去することが省エネにつながる

蛍光灯では電源が供給されてから安定器を介して、安定した器具の点灯を行います。一方、LEDでは安定器を介さずとも安定した器具の点灯が可能なため、安定器の撤去が必要です。このように、安定器を撤去することで無駄な電力を送り続けることを防ぎ、確実なランニングコスト削減につなげることができます。

ポイント3:中長期修繕計画などに基づき、内装工事と同時に実施することで効果的なLED化を実現する

LED化は、リニューアル専用器具を使用することで、既存照明器具の天井開口を利用して更新も可能ではありますが、器具種類が限られており、天井解体を要する場合が多くなります。

しかし、LED化のために天井解体を行うのは効率的ではないため、中長期修繕計画の中で発生する内装更新やテナント入替に伴う原状回復工事等に合わせて計画することで、無駄な費用を抑えて効率的なLED化を行うことができます。

中⻑期修繕計画集計表

中長期修繕計画のイメージ。中長期修繕計画にもとづき、
内装更新工事等と合わせてLED化を計画することで効率的な改修工事が可能となる

中長期修繕計画については、「中⻑期修繕計画とは?内容と見方・作成方法・費用・メリットを紹介」に用語の意味やレポートのイメージなどを紹介しています。あわせてご覧ください。

LED化改修を含む、省エネ・水光熱費削減・
エネルギーマネジメントの事例

アクアは、建物を所有・運用する方々の側に立ち、改修工事に関する様々なサービスを実施しています。

LED化工事に関しても、いつどの範囲をどういった器具に更新するのかという計画面でのご提案や、ゼネコン、専門工事業者、照明器具メーカー、リース会社、等様々ある選択肢の中からどの様にして施工者を選定するか、といった点に関する助言も行っております。以下に、LED化の改修事例をご紹介します。

事例1:全国数十棟保有施設のエネルギーマネジメント

全国にオフィスビル、商業施設、集合住宅等の施設を多数所有するお客様に対する技術支援業務です。全保有施設の年間エネルギー消費量及びCO2排出量を集計したうえで、各施設におけるCO2排出量削減方針を策定しました。それによるCO2排出量削減量の予測と要する工事費の試算を行いました。

全国数十棟保有施設のエネルギーマネジメントにおけるLED化のポイント

全国数十棟保有施設のエネルギーマネジメントにおけるLED化を含むマネジメントのポイント・効果は以下の通りです。

  • 全施設の年間エネルギー消費量の集計、分析
  • 現状のCO2排出量試算
  • 各施設の建物仕様と改修履歴を確認し、今後可能な改修工事内容とそれによるCO2排出量削減効果を試算

主に照明器具のLED化と空調設備の更新におけるCO2排出量削減が効果的でした。現状から20%、多いところでは50%以上の削減効果が見込まれ、試算した工事費により今後の計画的な改修計画策定に寄与しました。

 

事例2:10,000㎡ホテル主体の複合用途ビル(東京都)の大規模改修工事における共用部LED化と水光熱費削減効果

延床面積10,000㎡強のホテル主体複合施設における、改修工事のコンストラクションマネジメント業務です。外壁塗装、昇降機更新、空調設備更新に合わせ、共用部の照明器具更新等を実施する改修工事において、基本計画から施工段階までお客様を支援しました。工事が多工種に渡る中、効率的に施工を実施できるよう配慮した基本計画の策定を行いました。

渋谷全線座ビル不大規模改修工事プロジェクトにおけるLED化のポイント

渋谷全線座ビル大規模改修工事プロジェクトにおけるLED化を含む改修計画立案のポイント・効果は以下の通りです。

  • 外壁塗装、昇降機更新、空調設備更新を同時に施工する大規模改修工事に伴い共用部照明のLED化も実施
  • LED化と共に、天井内設備や天井面にある他設備の更新等を合わせて実施することで天井解体復旧の回数を最小限にすることができ、トータルでのコスト削減を実現
  • 対象の照明器具における電力消費量は50%程度の減を実現

 


まとめ:LED化工事の機会に、ランニングコスト低減・CO2削減など
メリットを最大化しましょう

LED化工事は比較的少ない負担でランニングコスト低減やCO2削減が実現できる施策です。企業不動産でLED化のメリットを最大化するには、メリットや注意点をおさえる必要があります。この記事のポイントは以下のとおりです。

  • LED化とは、既存照明機器からLED照明に変えることでエネルギー使用量を削減する省エネ対策の一つ
  • ESGや省エネ化を背景に、ビル、工場、商業住宅、共同住宅などの企業不動産でLED化改修が進んでいる
  • LED化の省エネ効果によって、ランニングコスト削減やESGへの貢献といったメリットが得られる
  • LED化改修は天井材の張替えなどが発生するため、天井周辺部に非常照明やスピーカーなどの機器が無いか事前に確認する
  • LED化と中長期修繕計画の中で発生する天井更新を一体的に計画することで、効率的なLED化を行う
  • LED化工事のみを行うケースは少ないため、修繕計画やファシリティマネジメントの専門家に相談することで、効率的な改修計画が立てられる

アクアは、建物の修繕・改修・ファシリティマネジメントのプロとして、お客さまの建物・施設の運用コストを最適化し、リスク低減をサポートいたします。既存建物の現状把握や中長期修繕計画の立案などにお困りの方は、お問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。

既存建物のLED化・エネルギーマネジメントに
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