建設発注方式とは、建設プロジェクトの設計や工事の発注方式の総称で、設計施工分離発注方式・設計施工一括発注方式・ECI方式などの方式があります。
また、広義な発注方式として、コストオン方式などの工事に関する発注方式、CM方式などの建設プロジェクトの運営・推進に関する発注方式なども挙げられます。
この記事では、建設発注方式の概要、設計施工分離発注方式、設計施工一括発注方式、ECI方式それぞれの相違点及び、メリット・デメリット、大型建設プロジェクトにおける導入事例などを紹介しています。
各種発注方式の具体的な紹介については、「設計施工一括発注方式(DB方式)とは?設計施工分離との違い、メリット・デメリット、導入事例を紹介」、「コストオン方式(契約)とは?導入事例・メリット、協定書、分離発注との違いを紹介」、「コンストラクションマネジメントとは?費用、契約、大手CM会社の特徴・選び方を紹介」などをあわせてご覧ください。

建設発注方式とは?
建設発注方式とは、建設プロジェクトの設計や施工に関する発注方式の総称で、設計施工分離発注方式・設計施工一括発注方式・ECI方式などの方式があります。
また、設計・施工におけるプロジェクトの発注方式以外にも、広義な発注方式として、工事段階における発注方式、プロジェクト・事業全体における発注方式などが挙げられます。
プロジェクトの特性に応じて適切な発注方式を採用することで、スムーズなプロジェクト推進や建設コスト削減につなげることができます。
多様な入札契約方式(発注方式)について
民間では様々な建設発注方式が試行錯誤されてきましたが、多様な発注方式が採用されるきっかけとなった出来事として、2014年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)」の改正があげられます。
それまで、公共工事では設計と施工を分離して発注することが一般的でしたが、多様な入札契約方式の1つとして公共工事でもデザインビルド(DB方式)やECIなどの発注方式の採用が可能になるとともに、CM方式や発注者支援なども導入されるきっかけにもなりました。
さらに詳しく知りたい方は、国土交通省が多様な入札契約方式の導入が求められる背景や、各発注方式の解説をしている「多様な入札契約方式の活用に向けて【第2版】」をご覧ください。
現在では、様々な発注方式が試行錯誤の末に発展し、プロジェクトの特性に合わせて適切な発注方式が採用されるようになっています。
設計・施工に関する5つの発注方式とは?
建設プロジェクトの設計・施工における発注方式として、大きく分けて「設計施工分離方式」「設計施工一括発注方式(基本計画から)」「設計施工一括発注方式(基本設計から)」「設計施工一括発注方式(実施設計から)」「ECI方式」の5つの種類があります。
各発注方式の違いは、主にゼネコンの役割や業務範囲によって分類できます。各発注方式によって、コスト、工期、設計と施工の責任区分、施工者の技術力の活用範囲に違いがあります。
このパラグラフでは設計・施工に関する発注方式について、ゼネコンの役割・業務範囲の違いや各発注方式のメリットなどを解説します。

大きく分けて、設計施工分離発注方式と設計施工一括発注方式に分類されます
設計施工分離発注方式|最も一般的な発注方式
設計施工分離発注方式では、基本計画から実施設計までを設計事務所が担当し、ゼネコンが施工を担当します。設計事務所が作成した実施設計図書を元にゼネコン選定を行います。
設計施工分離発注方式の特徴として、設計と施工の責任区分が明確になる、競争環境の創出が比較的容易で、それによる工事費の縮減効果が最も期待できます。

設計施工分離発注方式について、さらに詳しく知りたい方は「設計施工一括発注方式(DB方式)とは?設計施工分離との違い、メリット・デメリット、導入事例を紹介」のページも合わせてご覧ください。
設計施工一括発注方式(基本計画から)|プロジェクトの最初からゼネコンの支援を受けられる
基本計画からの設計施工一括発注方式では、ゼネコンが基本計画から施工まで一貫して担当します。特命もしくはヒアリング等による簡易的な選定方法にて依頼するゼネコンを決定します。
基本計画からの設計施工一括発注方式の特徴としては、競争環境の構築は難しい反面、ゼネコンの知見や技術を最も取り込むことが可能なことが挙げられます。

基本設計からの設計施工一括発注方式について、さらに詳しく知りたい方は「設計施工一括発注方式(DB方式)とは?設計施工分離との違い、メリット・デメリット、導入事例を紹介」のページも合わせてご覧ください。
設計施工一括発注方式(基本設計から)|設計段階でゼネコンの技術力を活かすことができる
基本設計からの設計施工一括発注方式では、基本計画を設計事務所が担当し、ゼネコンが基本設計から施工までを担当します。設計事務所が作成した基本計画図を元に、ゼネコン選定を行います。
基本設計からの設計施工一括発注方式の特徴としては、基本計画からの設計施工一括発注方式に比べて競争環境の構築がやや可能になりますが、ゼネコンの知見や技術を取り込める範囲は中程度になります。

基本設計からの設計施工一括発注方式について、さらに詳しく知りたい方は「設計施工一括発注方式(DB方式)とは?設計施工分離との違い、メリット・デメリット、導入事例を紹介」のページも合わせてご覧ください。
設計施工一括発注方式(実施設計から)|競争環境を構築しつつ、先行発注や早期施工計画検討などのメリットも受けられる
実施設計からの設計施工一括発注方式では、基本計画・基本設計を設計事務所が担当し、ゼネコンが実施設計から施工までを担当します。設計事務所が作成した基本設計図書を元に、ゼネコン選定を行います。
実施設計からの設計施工一括発注方式の特徴としては、その他の設計施工一括発注方式に比べて競争環境の構築が概ね可能になりますが、ゼネコンの知見や技術を取り込める範囲は少なく、限定される傾向にあります。

実施設計からの設計施工一括発注方式について、さらに詳しく知りたい方は「設計施工一括発注方式(DB方式)とは?設計施工分離との違い、メリット・デメリット、導入事例を紹介」のページも合わせてご覧ください。
ECI方式|公共工事での採用がきっかけとなり、民間への普及も進みつつある方式
ECI方式では、基本計画から実施設計までを設計事務所が担当し、ゼネコンが技術協力者として実施設計から参画し、施工を担当します。基本設計図書を元に技術協力者としてのゼネコン選定を行います。公共工事での採用がきっかけとなり、近年では民間でも採用が進みつつある主に採用されている方式です。
ECI方式の特徴として、設計責任は設計事務所が負う責任区分でありながら、施工者の技術力を設計に活かせる、設計段階から施工の事前検討が可能なため設計施工分離発注方式と比べ、スケジュールの短縮につながる、VE提案などによるコストの縮減がしやすいといった点が挙げられます。

ECI方式について、さらに詳しく知りたい方は「ECI方式とは?DB方式との違い、メリット・デメリット、導入事例を紹介」のページも合わせてご覧ください。
工事段階の3つの発注方式とは?
建設プロジェクトの工事段階における発注方式として、大きく分けて「一括発注方式」「分離発注方式」「コストオン方式」の3つの種類があります。
各発注方式の違いは、発注者、ゼネコン(総合建設会社)、専門工事会社の役割の違いにあります。
このパラグラフでは工事段階における発注方式について、発注者・ゼネコン(総合建設会社)・専門工事会社の役割の違いや各発注方式のメリット・デメリットを解説します。工事段階の発注に柔軟性を持たせることで、工期短縮や建設コスト削減につなげることも可能です。
工事を一括発注する方式(一括発注方式)|発注者の業務負荷が比較的少ない方式
一括発注方式とは、すべての建設工事をゼネコン等の建設会社1社に発注する方式です。工事費の総額や責任の所在が明確になり、発注者の業務負荷が比較的少ない発注方法です。
発注者は、ゼネコンに専門工事会社との契約を含め一括して発注し、ゼネコンが工事全体を管理します。ゼネコンは、各専門工事会社の施工範囲においても品質の責任を負います。そのため、一括発注方式は発注者にとって業務負荷が比較的少ない発注方式であるとも言えます。

一括発注方式について、さらに詳しく知りたい方は「コストオン方式(契約)とは? 導入事例・メリット、協定書、分離発注との違いを紹介」の「コストオン方式と一括発注方式・分離発注方式との違い」の段落を合わせてご覧ください。
分離発注方式|発注者がリスクを引き受け、コストメリットを受ける方式
分離発注方式とは、1つの工事をいくつかの区分(分離発注区分、パッケージ)に分割し、それぞれについて別々に専門工事会社へ発注する方式です。工事全体の調整や、品質管理等の統括責任を発注者が負うことによって、コストメリットを受けられる発注方法です。
発注者が専門工事会社と個別で契約し、そこに対してのスケジュール管理や品質管理を行う必要があります。従来の一括発注方式でゼネコンが担っていた専門工事会社に対する管理費用が不要となるため、一括発注方式と比較して全体のコスト削減となる傾向にあります。そのため、分離発注方式は発注者が業務負荷と専門工事会社に対する管理リスクを引き受けることで、コスト面でのメリットが得られる発注方式であるとも言えます。

分離発注方式について、さらに詳しく知りたい方は「コストオン方式(契約)とは? 導入事例・メリット、協定書、分離発注との違いを紹介」の「コストオン方式と一括発注方式・分離発注方式との違い」の段落を合わせてご覧ください。
コストオン方式|分離発注方式のリスクを低減する方式
コストオン方式は、一括発注方式と分離発注方式を折衷した発注方式です。分離発注方式でのリスクを低減しながら、ある程度のコストメリットも受けられる発注方法です。
発注者は、専門工事会社を個別に選定したうえで、ゼネコンに対し、専門工事会社と合意した金額に、現場でのスケジュール管理の経費(コストオンフィー)を上乗せした金額で工事を発注します。発注をゼネコンに一本化したうえで、専門工事会社と直接コストや要望について交渉することができるため、コストオン方式は、発注者のリスクと業務負荷を軽減しながら、コスト面でのメリットも受けられる発注方式と言えます。

コストオン方式について、さらに詳しく知りたい方は「コストオン方式(契約)とは? 導入事例・メリット、協定書、分離発注との違いを紹介」の「コストオン方式と一括発注方式・分離発注方式との違い」の段落を合わせてご覧ください。
建設プロジェクト全体に係わるその他の発注方式
プロジェクトの運営や建設プロジェクト推進に係わる発注方式として、CM(コンストラクションマネジメント)方式や、公共施設・サービスの運営・推進の一環として、PFIやPPP方式が採用されるケースがあります。
このパラグラフでは、建設プロジェクト全体に係わる発注方式の代表例として、CM方式とPPP・PFI方式における代表的なメリットを紹介します。
CM方式|建設発注者の右腕となり、発注方式の選定やプロジェクト推進を支援
コンストラクションマネジメント(CM方式)とは、建設プロジェクトをマネジメントする手法の1つで、発注者の側に立ちプロジェクトをサポートするコンストラクションマネジャー(CMr)が、コストコントロールやスケジュール管理などの支援を行う方式です。
CM方式の導入により、複雑化・高度化が進む近年の建設プロジェクトのニーズに応える、多様なプロジェクト実施方式(入札契約方式)の円滑な実現が可能になります。

建設プロジェクトに専門性を持つCM会社がプロジェクト全体のマネジメントを行うことで、発注者の負担が軽減します
CM方式について、さらに詳しく知りたい方は「コンストラクションマネジメントとは?費用、契約、大手CM会社の特徴・選び方を紹介」を合わせてご覧ください。さらに実際にCM会社が提供するサービスを確認したい方は「建設プロジェクトの発注者支援」のページをご覧ください。
PPP・PFI方式(BOT方式など)|公共工事における発注方式の一つで、民間のノウハウをを活用する手法
官民が連携して公共サービスの提供を行うスキームをPPPと呼び、PFIはPPPの代表的な手法の一つです。PPPにはPFIの他に指定管理者制度や民設公営など、様々な方式があります。
PPPは、Public Private Partnershipと略で、公共施設等の建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携することによって、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るものです。PFIは、Private Finance Initiativeの略で、公共施設等の整備に民間の資金・経営能力・技術的能力を活用して行う手法です。

PPP・PFI方式を活用することで、事業全体のリスク管理が効率的に行われ、設計・建設・維持管理・運営を一体的に扱うことで事業コストの削減が期待でき、コストを抑えて、質の高い公共サービスの提供が期待できます。
CM方式により、各発注方式のメリットを最大化する3つの方法
今までご紹介した建設発注方式には、それぞれにメリット・デメリットが存在するため、プロジェクトの特性に応じて適切な発注方式を採用することが重要です。
CM方式を採用することで、各発注方式のデメリット部分を補い、メリットを最大限に活かすことができ、スムーズなプロジェクト推進やコスト削減につなげることができます。
このパラグラフでは、CM方式を採用して各発注方式のメリットを最大化する方法をご紹介します。
ポイント1:プロジェクトの特性やニーズを踏まえた、最適な発注方式を選定できる
CM方式を採用することで、プロジェクトの特性やニーズを踏まえた最適な発注方式を選定することが可能です。各発注方式のメリットを活かすためにも、各種発注方式に精通した発注のプロ(コンストラクションマネジャー)を起用することが重要です。
例えば、改修工事の場合は既存部分との取り合いや複雑な工事条件となる場合もあり、新築工事以上に施工面での技術的知見が必要となることが多いです。そのため、設計施工分離発注方式よりも設計施工一括発注方式の方がメリットを受けられる場合が多いですが、発注者自身でこうしたプロジェクトの特性を踏まえて発注方式の選定をすることは簡単ではありません。

プロジェクトの特性やニーズを踏まえて、最適な発注方式を採用することで、各発注方式のメリットを受けることができます
CM会社を起用すると発注方式の特徴をかんがみた上で、プロジェクトの特性やニーズを踏まえて、各発注方式のメリットを享受できる提案を受けることができるため、建設プロジェクトの円滑な推進に繋がります。
ポイント2:選択した発注方式のデメリットを補完し、発注者のリスクを低減できる
各発注方式にはさまざまなメリットがあると同時に、それに合わせてデメリットもあります。CM方式を採用することで、選択した発注方式のデメリットを補完し、発注者のリスクを低減できます。
例えば、設計施工一括発注方式では早期のゼネコン選定が必要となるため、高い発注スキルやノウハウが求められます。ゼネコン選定の知識や経験が豊富なCM会社を起用することで、プロポーザル方式なども含めた競争環境の創出など、発注者のリスクを低減した適切な発注を実現することができます。
また、設計施工分離発注方式では、工事費の透明化を図れるものの精算見積の段階で予算との大きなギャップが生じる危険性があります。建設プロジェクトのコストコントロールを行い、計画が進むにつれてコストが増大するといったリスクを防ぐためにも、CM会社を起用することも重要な選択肢の一つとなります。
ポイント3:適切なゼネコン・専門工事会社選定を実施できる
CM方式を採用すると、設計施工一括発注方式やECI方式で必要となる早期のゼネコン選定や、コストオン方式で必要となる専門工事会社の選定を適切に行うことができます。
設計施工一括発注方式やECI方式では、早期のゼネコン選定が必要となり、高い発注スキルやノウハウが必要になります。また、コストオン方式や分離発注方式では、専門工事会社の選定や交渉は発注者が行うため、一括発注方式と比べ、リスクや責任を負担することになります。
ゼネコン選定の知識や経験が豊富なCM会社を起用することで、プロポーザル方式なども含めた競争環境の創出のほか、ゼネコン1社特命であっても発注者のリスクを軽減する適切なゼネコン選定が可能になります。さらにコストオン方式や分離発注方式では、関係各社の調整役などの発注者の支援・代行を行い、デメリットを最小限におさえることが可能です。

事業関係者が多岐にわたり、さらに本体工事以外にコストオン工事・分離発注工事が必要となるため、関係各社の調整をアクアにて行いました

本体工事を進めながら、別で発注が必要となる工事の設計者選定から施工者選定を同時進行で行えるようにしました
実際の建設プロジェクトにおける各発注方式の導入事例
建設プロジェクトにおける各発注方式の導入事例を紹介します。この記事を作成したCM(コンストラクションマネジメント)会社のアクアが実際に支援した、複合施設、事務所ビル、ホテルなどの大型建設プロジェクトについて、各発注方式導入の背景やポイントをまとめています。
事例1:設計施工一括発注方式を活用したホテルを含む複合施設の事例
京都府京都市のホテルを含む複合施設のプロジェクトで、設計施工一括発注方式を採用した事例です。歴史ある既存校舎の一部を保存改修し、新築棟を建設するという異なる施工条件を同時進行で行うプロジェクトでした。
既存校舎の保存改修には、校舎の解体・撤去工事、補修工事をした上で、既存建物の雰囲気を活かしたホテルへと改修する必要がありました。既存建物の保存・改修には施工の観点も踏まえて設計する必要があるため、基本設計段階からゼネコンの技術力を活かせるように、設計施工一括発注方式の採用を提案しました。
アクアは、既存建物に対する解体・改修工事に関する助言を行い、さらに基本設計段階からゼネコンが参画するメリットを活かし、工事費の妥当性検証を各段階で実施しました。既存建物を活かしたホテル仕様の提案およびグレードとデザインを両立しながら、工事費を予算内におさめることができました。


ホテルを含む複合施設における設計施工一括発注方式採用の効果・ポイント
ホテルを含む複合施設における設計施工一括発注方式採用のポイント・効果は以下の通りです。
- 完成から約90年経過した既存建物に対する解体・改修工事の施工に関する技術的な助言を実施
- 改修と新築を同時進行で行うプロジェクトで、工事費の増減要因を考慮しながら見積の精査を実施
- 設計段階からゼネコンが参画するメリットを活かし、工事費の妥当性検証を随時実施
- 設計変更による見積金額のコストアップに対して、VE提案を実施し予算超過を防止
- 既存建物を活かしたホテル仕様を提案し、予算内で適切なグレードとデザインを両立
事例2:設計施工一括発注方式を活用した事務所ビルの事例
東京都中央区の事務所ビルのプロジェクトで、実施設計から設計施工一括発注方式を採用した事例です。大規模ビルと同等の機能性・グレードを備え、入居企業のステータスを高める新しいタイプの中規模オフィスとなるプロジェクトです。
企業ステータスを高めるためにデザイン性が求められる事務所ビルであったため、基本設計・実施設計ともに意匠は設計事務所が担当しましたが、設備・構造の実施設計をゼネコンが担当することで、設計事務所による高いデザイン性を備えながら、設備・構造設計はゼネコンの技術力を活かした経済的な設計を行うことができました。
基本設計終了段階での早期ゼネコン選定が必要となるため、アクアは各ゼネコンが精算に近い見積りを算出できるように追加資料を作成し、各社の見積精度の向上を実現しました。さらに、各ゼネコンの比較が容易になり、お客様の効率的な調達戦略の実行に寄与しました。


事務所ビルにおける設計施工一括発注方式採用の効果・ポイント
事務所ビルにおける設計施工一括発注方式のポイント・効果は以下の通りです。
- 実施設計以降の意匠設計は設計事務所、構造・設備設計はゼネコンに分けて、デザイン性と経済性を両立した計画を実現
- ゼネコン選定においてプロポーザル方式を採用し、ゼネコンからの積極的な技術提案を引き出し、コストと性能が両立した構造計画を実現
- ゼネコン選定時には精緻な概算見積用資料を作成し、見積精度の向上をサポート
- 各ゼネコンから精度の高い見積書取得を実現し、各社の見積りを比較・検討した上でゼネコン選定を行えた
事例3:コストオン方式を活用したラグジュアリーホテルの事例
京都府京都市のラグジュアリーホテルのプロジェクトで、コストオン方式の他に、一括発注方式、分離発注方式の組み合わせによってプロジェクトに最適な発注方式を策定した事例です。本プロジェクトの事業主はマレーシアの外資系企業であり、日本の建設文化について全く知らない状況でした。建設文化の違いをサポートし、国内最高級ホテルの発注業務をマネジメントしました。
一般的にホテルでは、厨房機器、AV機器、IT設備、セキュリティ機器など建物の本体工事とは別で発注する工事が多くなります。さらにラグジュアリーホテルとなると、その工種は多岐にわたります。本体工事以外の工事をコストオン方式や分離発注方式を採用することで、工事費の透明性および妥当性を確保しました。
コストオン方式や分離発注方式の採用は、工事費の透明性を確保し、コストを抑える効果が見込まれる反面、高い発注スキルが求められます。アクアは、入札参加者の推薦や入札説明会の開催をサポートし、その後の各社の見積内容の精査、施工者との協議・調整を行い、発注者の支援を行いました。品質・コスト・納期のバランスを図りながら最高級グレードホテルを開業することができました。


ラグジュアリーホテルにおけるコストオン方式採用の効果・ポイント
ラグジュアリーホテルにおけるコストオン採用のポイント・効果は以下の通りです。
- 海外と日本の建設文化の違いによる関係者間での認識のギャップの解消をサポート
- 多岐にわたる工事調達、関係者間の連絡調整や契約手続きなどプロジェクト運営をサポート
- 一括発注、コストオン、分離発注などの組み合わせによってプロジェクトに最適な発注方式を策定
- プロセスの透明化に努め、所有者、運営者の両外資系企業が意思決定しやすい形で進捗をサポート
まとめ:建設発注方式の特徴を理解したうえで、プロジェクトの工期・コスト改善に役立てよう
各建設発注方式の特徴をおさえることで、スムーズなプロジェクト推進やコスト削減につなげることができます。この記事のポイントは以下の通りです。
- 建設発注方式とは、設計・施工における発注方式の他に、工事における発注方式、建設プロジェクト運営・推進に係わる発注方式などがある
- 設計・施工における発注方式では、設計施工分離発注方式や一括発注方式、ECI方式などがある
- 工事に関する発注方式では、一括・分離・コストオン方式があり、建設プロジェクト運営・推進に係わる発注方式としてはCM方式やPPP・PFI方式などがある
- プロジェクトの特性に応じて適切な発注方式を採用することで、スムーズなプロジェクト推進やコスト削減につなげることができる
- CM方式を導入することで、各発注方式のメリットを強め、デメリットを補うことができる
アクアは、高い技術力と豊富な実績を持つCM(コンストラクションマネジメント)会社として適切な発注方式の選定の支援も含め、お客さまの建設発注業務を高いレベルでサポートいたします。建設プロジェクトにおける発注方式の検討や、発注者の負担・リスクの軽減など、建設プロジェクトの発注に関してお困りの方は、お問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。
建設発注方式に関する事例・リンク
設計施工一括発注方式(DB方式)とは?設計施工分離との違い、メリット・デメリット、導入事例を紹介
建設プロジェクトの設計段階から施工者に依頼する発注方式である、設計施工一括発注方式(DB方式)について紹介しているページです。設計施工一括発注方式の概要、設計施工分離発注方式やECI方式との違い、導入のメリット・デメリット、大型建設プロジェクトでの導入事例などをまとめています。
ECI方式とは?DB方式との違い、メリット・デメリット、導入事例を紹介
建設プロジェクトの実施設計段階からゼネコンが技術協力を行う発注方式である、ECI方式(技術提案・交渉方式)について紹介しているページです。ECI方式の概要、設計施工分離発注方式や設計施工一括発注方式(DB方式)との違い、採用のメリット・デメリット、建設プロジェクトでの導入事例などをまとめています。
コストオン方式(契約)とは?導入事例・メリット、協定書、分離発注との違いを紹介
建設プロジェクトの工事において、発注者が専門工事会社を直接選定する発注方式である、コストオン方式(契約)について紹介しているページです。コストオン方式の概要、一設計施工一括発注方式などとの違い、メリット・デメリット、フィーの相場や決め方、契約のポイント、導入事例などをまとめています。
コンストラクションマネジメントとは?費用、契約、大手CM会社の特徴・選び方を紹介
建設プロジェクトにおける発注方式の検討、導入、プロジェクト進行などにおいて、発注者の支援を行うCM(コンストラクションマネジメント)方式について紹介しているページです。CM方式の概要、導入のメリット、CM会社の選び方、費用の算出方法や相場、CM活用事例などを紹介しています。
